段階的学校復帰プログラム|無理のない復帰計画

不登校のお子さんをお持ちの保護者の皆さん、そして当事者の皆さん。学校に行けない状況が続くと、「いつになったら学校に戻れるのだろう」「このままでいいのだろうか」と不安になることがあるかもしれません。そんな気持ちを抱えているあなたに、今回は無理のない学校復帰を目指す「段階的復帰プログラム」についてお話しします。
段階的復帰とは何か

段階的復帰とは、いきなり毎日フルタイムで学校に通うのではなく、お子さんの状況に合わせて少しずつ学校との関わりを増やしていくアプローチです。まるで階段を一段ずつ上るように、無理のないペースで学校生活に慣れ親しんでいく方法なのです。
この方法の最大のメリットは、お子さんが「できた」という小さな成功体験を積み重ねられることです。無理をして挫折してしまうリスクを減らし、自信を取り戻しながら復帰を目指せるのです。
段階的復帰の具体的なステップ
ステップ1:家庭での生活リズムを整える
学校復帰の第一歩は、実は家庭での生活から始まります。規則正しい睡眠時間、適度な運動、栄養バランスの取れた食事など、基本的な生活習慣を整えることが大切です。この段階では学校のことは考えず、まずは心と体の健康を取り戻すことに集中しましょう。

ステップ2:学校との緩やかな接点を作る
生活リズムが安定してきたら、学校との小さな接点を作ってみます。担任の先生との短い電話やメール交換、学校からのお便りを読む、友達からの手紙を受け取るなど、プレッシャーを感じない範囲で学校との繋がりを持ちます。

ステップ3:短時間の学校訪問から始める
お子さんが「学校に行ってみようかな」と思えるようになったら、まずは短時間の学校訪問から始めます。放課後の静かな時間に校舎を見学したり、保健室で少し過ごしたりするだけでも十分です。「学校は怖い場所ではない」ということを体感してもらうのが目的です。

ステップ4:部分的な授業参加
学校に慣れてきたら、興味のある授業や得意な科目から参加してみます。1時間だけ、1科目だけからで構いません。無理をせず、疲れたら休むことも大切な選択肢であることを伝えましょう。

ステップ5:徐々に滞在時間を延ばす
お子さんのペースに合わせて、少しずつ学校にいる時間を延ばしていきます。午前中だけ、お昼まで、午後も含めて、と段階的に時間を増やします。この過程で、お子さんの様子をよく観察し、無理をしていないか確認することが重要です。

個別計画の重要性
不登校の理由や状況は一人ひとり異なります。そのため、段階的復帰を成功させるには、お子さん一人ひとりに合わせた個別の復帰計画を立てることが欠かせません。
お子さんの状況を丁寧に把握する
まずは、なぜ学校に行けなくなったのか、現在どのような気持ちでいるのか、何に不安を感じているのかを、じっくりとお子さんの話を聞いて把握しましょう。責めたり急かしたりせず、お子さんの気持ちに寄り添うことが大切です。
小さな目標設定を心がける
個別計画では、達成可能な小さな目標を設定します。「来週は保健室に10分間いる」「好きな美術の授業だけ出てみる」など、お子さんが「これならできそう」と思える目標から始めます。大きな目標は小さく分割して、段階的にクリアしていくのです。

柔軟性を持った計画作り
計画は固定的なものではありません。お子さんの調子が良い日もあれば、そうでない日もあります。計画通りにいかなくても、それは失敗ではありません。その都度、計画を見直し、お子さんのペースに合わせて調整していくことが重要です。
家族と学校の連携

段階的復帰を成功させるには、家族と学校の密な連携が不可欠です。定期的に担任の先生やスクールカウンセラーと情報共有し、お子さんの状況について話し合いましょう。学校側にも段階的復帰について理解してもらい、協力を得ることが大切です。
また、お子さんが学校で困ったことがあれば、すぐに相談できる環境を整えておきましょう。保健室の先生や相談室の先生など、お子さんが信頼できる大人を学校内で見つけておくことも重要です。
復帰過程で大切にしたいこと
段階的復帰の過程では、結果よりもプロセスを大切にしましょう。「今日は行けなかった」ことよりも、「行こうと思えた」「準備ができた」ことを認めて褒めてあげてください。
お子さんのペースを尊重し、比較はせず、小さな進歩を一緒に喜ぶことが、復帰への意欲を支える大きな力となります。焦らず、諦めず、お子さんと一緒に一歩ずつ前に進んでいきましょう。
不登校からの学校復帰は、決して一人で頑張るものではありません。家族、学校、そして専門機関が連携して、お子さんを支えていくことが大切です。段階的復帰プログラムは、そのための有効な方法の一つなのです。