別室登校からの始め方|保健室・相談室の活用

教室に行くのが難しい時期があっても、それは決して恥ずかしいことではありません。多くの子どもたちが、様々な理由で教室への参加に困難を感じています。そんな時に知っておきたいのが「別室登校」という選択肢です。

目次

別室登校とは何か

別室登校とは、教室以外の場所で学校生活を送る方法のことです。保健室や相談室、図書室、空き教室などを活用し、無理のないペースで学校との関わりを続けていく取り組みです。

不登校の状態から完全に教室復帰を目指すのではなく、まずは学校という場所に慣れることから始める、段階的なアプローチといえるでしょう。子どもの気持ちや状況に寄り添いながら、少しずつ学校生活への参加を広げていくことができます。

保健室登校のメリット

保健室は多くの学校で別室登校の拠点として活用されています。養護教諭の先生がいるため、心身の健康面でのサポートも受けられます。

保健室登校では、以下のような活動が可能です。

学習面での支援 担任の先生や他の教科の先生が時間を見つけて、個別に学習指導をしてくれることがあります。教室での授業についていけない不安がある場合でも、自分のペースで学習を進められます。

社会性の維持 完全に学校から離れるのではなく、学校という社会との接点を保つことができます。他の生徒との関わりも、体調や気持ちに合わせて調整できます。

安心できる環境 保健室は比較的静かで落ち着いた環境です。教室の喧騒が苦手な子どもにとって、心を休められる場所として機能します。

相談室の活用方法

スクールカウンセラーがいる相談室も、別室登校の重要な場所です。心理的なサポートを受けながら、学校生活への参加を考えていくことができます。

相談室では、今感じている不安や悩みを言葉にすることから始まります。なぜ教室に行きづらいのか、どんな時に不安になるのか、そうした気持ちを整理していくプロセスは、次のステップへ進むための大切な土台になります。

また、相談室での時間を利用して、教室復帰に向けた具体的な計画を立てることもできます。「まずは朝の会だけ参加してみる」「好きな教科の時間だけ教室に行ってみる」など、無理のない範囲での目標設定を一緒に考えてもらえます。

段階的な参加の進め方

別室登校から教室参加への道のりは、階段を一段ずつ上がるようなものです。急がず、焦らず、自分のペースで進んでいくことが大切です。

第1段階:学校に慣れる
まずは学校という場所に慣れることから始めます。保健室や相談室で過ごす時間を通じて、学校のリズムを思い出していきましょう。登校時間も、最初は短時間から始めて徐々に延ばしていけば良いのです。

第2段階:人との関わりを広げる
養護教諭の先生やスクールカウンセラーとの関係に慣れてきたら、担任の先生や教科の先生との関わりも少しずつ増やしていきます。最初は短い時間の挨拶から始めて、徐々に会話の時間を延ばしていけます。

第3段階:教室への部分参加
好きな教科や得意な分野の授業に、短時間だけ参加してみることから始められます。体育や音楽、美術などの実技教科は、比較的参加しやすいと感じる子どもも多いようです。

第4段階:教室参加の拡大
一つの授業に参加できるようになったら、徐々に参加する授業を増やしていきます。この段階でも、体調や気持ちに合わせて調整することが重要です。

家族ができるサポート

別室登校を始める際、家族の理解とサポートは欠かせません。

焦らない気持ちを持つ
教室復帰への道のりは人それぞれです。他の子どもと比較したり、早く結果を求めたりせず、その子なりのペースを大切にしてください。

小さな変化を認める
別室登校を続けていること自体が大きな一歩です。「今日は30分長く学校にいられた」「先生と話せた」など、小さな変化や努力を認めて声をかけてあげてください。

学校との連携
担任の先生、養護教諭、スクールカウンセラーなど、学校の関係者との連携を大切にしましょう。家庭での様子を伝えたり、学校での状況を聞いたりして、一貫したサポートを心がけてください。

別室登校を成功させるポイント

別室登校を有効活用するために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。

目標設定は柔軟に
「今週は3日間保健室に行く」「来月は1時間教室にいる」など、具体的だけれど達成可能な目標を設定します。ただし、体調や気持ちの変化に合わせて、目標を調整することも大切です。

記録をつける
日々の気持ちや体調、学校での出来事などを簡単に記録しておくと、自分の変化に気づきやすくなります。カレンダーにシールを貼るだけでも効果的です。

支援者との信頼関係
保健室の先生やスクールカウンセラーとの信頼関係を築くことが、別室登校の成功につながります。困ったことや不安なことがあれば、遠慮せずに相談してください。

まとめ

別室登校は、不登校から学校復帰への大切な橋渡しとなる方法です。保健室や相談室といった安心できる場所から始めて、段階的に学校生活への参加を広げていくことで、無理なく教室復帰を目指すことができます。

大切なのは、一人ひとりのペースを尊重し、小さな変化も大切にしながら進んでいくことです。別室登校という選択肢があることを知り、子どもの気持ちに寄り添いながら、温かくサポートしていきましょう。

学校復帰への道のりは人それぞれですが、別室登校を通じて少しずつ自信を取り戻し、自分らしい学校生活を送れるようになることを願っています。

投稿者

堀内 孝一

1997年代前半に全国の高校中退者が12万人という状況を知り、その時代では唯一無二の教育である全日型通信としてリスタート教育を掲げていたクラーク記念国際高等学校に1997年に入職。西日本地区を中心にリスタート教育を発信し続ける中、2023年に小中学生の不登校34万人以上という状況の中、2024年に「一般社団法人こども教育支援機構」がフリースクール:クラーク国際中等部を設立。初代校長に就任。
居場所作りのスリースクールにプラスして「将来先取り教育」を実行している。

目次