完璧主義からの脱却して不登校と向き合う|「良い親」でなくても大丈夫

「良い親でなければならない」「子どもを完璧に育てなければ」──そんな思いに押し潰されそうになっていませんか?毎日子育てに向き合う中で、理想の親像と現実の自分との間で苦しんでいるお母さん、お父さんは決して少なくありません。

特に、お子さんが不登校になったとき、多くの親御さんが「私の育て方が悪かったのではないか」と自分を責めてしまいます。しかし、完璧な親など存在しないのです。今日は、完璧主義のプレッシャーから解放され、もっと楽に子育てを楽しむためのヒントをお伝えします。

目次

完璧主義が生み出すプレッシャーの正体

完璧主義からの脱却

「良い親」への過度な期待

現代の親は、SNSや育児書、周囲の期待から「良い親」のイメージを植え付けられがちです。常に笑顔で、子どもの要求にすべて応え、学校行事には必ず参加し、栄養バランスの取れた手作り料理を毎日用意する──そんな理想像に縛られていませんか?

このような完璧主義は、親自身を疲弊させるだけでなく、子どもにも無言のプレッシャーを与えてしまいます。「お母さんが頑張っているのに、自分がうまくいかないのは申し訳ない」と感じた子どもが、不登校という形でSOSを出すケースも珍しくありません。

完璧主義がもたらす悪循環

完璧を求める親の姿勢は、知らず知らずのうちに子どもに「失敗してはいけない」というメッセージを送ります。その結果、子どもは以下のような状況になります。

  • 小さな失敗を極度に恐れるようになる
  • 挑戦することを避けるようになる
  • 自分の感情を素直に表現できなくなる
  • 親を困らせまいと無理をしてしまう

このような状況が続くと、子どもの心に大きな負担がかかり、最終的に学校に行けなくなってしまうことがあるのです。

「不完璧」でも愛情は伝わる

完璧主義からの脱却

完璧でない親の美しさ

実は、完璧でない親の方が、子どもにとって安心できる存在だったりします。時には感情的になったり、失敗を認めたり、「わからない」と正直に言える親の姿を見ることで、子どもは以下のことを学びます。

  • 人間は完璧でなくて当たり前だということ
  • 失敗しても大丈夫だということ
  • 困ったときは助けを求めていいということ
  • 感情を表現することの大切さ

「ありのまま」を受け入れる勇気

お子さんが不登校になったとき、多くの親御さんが「どうにかして学校に行かせなければ」と考えがちです。しかし、まずは子どもの「今」の状態をありのまま受け入れることから始めてみませんか?

「学校に行けなくても、あなたは大切な存在だよ」 「今は休む時期なのかもしれないね」 「一緒に考えていこう」

そんな言葉をかけることで、子どもは安心感を得られ、次の一歩を踏み出す勇気を見つけられるかもしれません。

柔軟な親になるための実践的なアプローチ

1. 「80点主義」を心がける

完璧を目指す代わりに、「80点取れれば上出来」という意識を持ってみましょう。料理が手抜きの日があっても、洗濯物が溜まっても、子どもと笑顔で過ごせていれば十分です。

2. 自分の感情を素直に伝える

「お母さんも今日は疲れちゃった」 「一緒にゆっくりしようか」 「あなたがいてくれて嬉しいな」。完璧な親を演じる必要はありません。素直な気持ちを伝えることで、親子の絆はより深まります

3. 子どもの「違い」を個性として受け入れる

他の子と比較するのではなく、我が子の独特な個性や成長のペースを認めましょう。不登校も、その子なりの成長過程の一部かもしれません。

4. 完璧主義から「成長主義」へ

失敗を避けるのではなく、失敗から学ぶことの価値を子どもと一緒に発見しましょう。親が失敗を認め、そこから学ぶ姿を見せることで、子どもも挑戦する勇気を持てるようになります。

サポートを求める勇気を持つ

一人で抱え込まない

完璧主義の親は、「すべて自分でやらなければ」と考えがちです。しかし、子育ては一人でするものではありません。家族、友人、学校のカウンセラー、専門機関など、利用できるサポートは積極的に活用しましょう。

特に不登校のお子さんを持つ場合、同じ経験を持つ親同士のコミュニティに参加することで、大きな支えを得られることがあります。

自分自身のケアも大切に

子どものことばかり考えていると、自分の心の健康を見落としがちです。時には好きなことをしたり、友人と話したり、一人の時間を持ったりすることも、良い親でいるために必要なことです。

まとめ:「良い親」の新しい定義

「良い親」とは、完璧な親のことではありません。子どもを愛し、その子らしさを受け入れ、一緒に成長していける親のことです。

不登校という状況に直面したとしても、それは決して親の失敗ではありません。子どもが自分らしい道を見つけるための、大切なプロセスの一部なのかもしれません。

完璧主義のプレッシャーから自分を解放し、「今日も一日、子どもと一緒に過ごせた」ことを喜べる親でいられたら、それだけで十分素晴らしいのです。

あなたは既に「良い親」です。完璧でなくても、愛情にあふれた、かけがえのない存在なのですから。

投稿者

宮川 優輝

日本大学文理学部教育学科卒業。滋慶学園東京福祉専門学校で広報業務・入試事務を経て、内閣府認定公益財団法人こども教育支援財団東京大志学園さいたま校(フリースクール)にて教室担当を務め、不登校支援を行う。現在は一般社団法人こども教育支援機構クラーク国際中等部さいたまキャンパス教室担当。

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