学校行事への参加|きっかけ作りとしてのイベント参加

不登校の状況が続くと、学校に戻ることがとても大きなハードルに感じられることがありますね。毎日の授業に参加することは難しくても、文化祭や体育祭といった学校行事なら参加してみたいという気持ちが芽生えることもあるのではないでしょうか。

学校行事は、普段の学校生活とは少し違った特別な雰囲気があります。そんな行事への参加が、学校復帰への小さな一歩となることも多いのです。今回は、不登校の子どもたちにとって学校行事がどのような意味を持つのか、そして参加する際のポイントについて一緒に考えてみましょう。

目次

なぜ学校行事が復帰のきっかけになるのか

特別な雰囲気が参加しやすさを生む

文化祭や体育祭などの学校行事は、普段の授業とは全く違った雰囲気に包まれます。教室での勉強という日常から離れた、お祭りのような特別な空間があります。この「いつもと違う」という感覚が、学校に対する固定観念を和らげ、参加への心理的なハードルを下げてくれることがあります。

普段は学校に行けない子どもでも、「今日は特別な日だから」という気持ちで一歩を踏み出せることがあるのです。

自分なりの参加方法を選べる

学校行事の良いところは、参加の仕方に選択肢があることです。文化祭なら見学だけでも良いですし、体育祭なら応援席から見るだけでも参加の一つの形です。

「全部に参加しなければいけない」というプレッシャーがなく、自分のペースで関わることができます。これは不登校の子どもたちにとって、とても大切な要素です。

成功体験を積み重ねられる

行事への参加は、小さな成功体験を積み重ねる機会でもあります。「学校に行けた」「友達と話せた」「楽しい時間を過ごせた」といった一つひとつの体験が、自信につながっていきます。

この成功体験が、次の行事参加や、さらには日常的な学校生活への復帰に向けた原動力となることも多いのです。

文化祭参加のポイント

無理のない参加方法を見つける

文化祭への参加を考える際は、まず「どのような形で参加したいか」を子どもと一緒に考えてみましょう。展示を見て回るだけでも立派な参加です。友達のクラスの出し物を見に行く、好きな部活動の発表を見る、校内を散歩するなど、本人が興味を持てる部分から始めることが大切です。

時間についても、一日中いる必要はありません。午前中だけ、好きな時間帯だけなど、無理のない範囲で参加することから始めてみてください。

事前の準備で安心感を

文化祭に参加する前に、可能であれば学校の先生と相談してみることをおすすめします。当日の流れや、困ったときの相談先などを確認しておくと、安心して参加できます。

また、信頼できる友達や家族と一緒に参加することも、心強いサポートになります。

体育祭参加のポイント

観戦から始める選択肢

体育祭というと競技に参加することを想像しがちですが、観戦も立派な参加方法です。クラスメイトや友達を応援する、好きな競技を見る、体育祭の雰囲気を楽しむなど、見ているだけでも十分に体育祭を味わうことができます。

応援席で過ごすことで、自然とクラスメイトとの会話が生まれることもあります。これも大切な交流の機会となります。

体調と気持ちを最優先に

体育祭は屋外での活動が多く、体力的にも負担が大きいイベントです。不登校期間中は体力が落ちていることも多いので、無理は禁物です。

疲れたら休む、暑さを感じたら涼しい場所に移動する、気分が優れないときは早めに帰るなど、自分の体調と気持ちを最優先に考えて参加しましょう。

参加する際の心構え

完璧を求めない

学校行事への参加は、「完璧にやり遂げること」が目的ではありません。少しでも学校の雰囲気を感じられたら、それだけで意味のある一歩です。

途中で帰ることになっても、思うように楽しめなくても、参加したこと自体が価値のある経験です。結果よりもプロセスを大切にしましょう。

周りの目を気にしすぎない

久しぶりに学校に行くと、周りの視線が気になることもあるでしょう。でも、多くのクラスメイトは行事に夢中で、思っているほど他の人のことを気にしていないものです。

もし声をかけられたら、簡単に挨拶を返すだけでも十分です。深く説明する必要はありません。

保護者の方へのアドバイス

子どものペースを尊重する

お子さんが学校行事に参加したいと言ったとき、つい期待が膨らんでしまうかもしれません。しかし、「この機会に完全復帰を」と考えすぎると、お子さんにプレッシャーを与えてしまう可能性があります。

行事参加はあくまで一つのステップとして捉え、お子さんのペースを尊重することが大切です。

参加後のフォローも大切

行事に参加した後は、お子さんの気持ちに寄り添ってあげてください。楽しかった部分があれば一緒に喜び、疲れてしまった場合は十分な休息を取らせてあげましょう。

参加できたこと自体を認め、次につながるような前向きな声かけを心がけてください。

まとめ

学校行事への参加は、不登校の子どもたちにとって学校復帰への大切なきっかけとなり得ます。普段の学校生活とは違った特別な雰囲気の中で、自分なりの参加方法を見つけることができます。

文化祭や体育祭などの行事は、見学だけでも、短時間でも、それぞれのペースで参加できるのが魅力です。完璧を求めず、小さな一歩を大切にしながら、お子さんが安心して参加できる環境を整えていきましょう。一人ひとりに合った参加方法を見つけることで、学校行事が復帰への希望の光となることを願っています。焦らず、お子さんの気持ちに寄り添いながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。

投稿者

堀内 孝一

1997年代前半に全国の高校中退者が12万人という状況を知り、その時代では唯一無二の教育である全日型通信としてリスタート教育を掲げていたクラーク記念国際高等学校に1997年に入職。西日本地区を中心にリスタート教育を発信し続ける中、2023年に小中学生の不登校34万人以上という状況の中、2024年に「一般社団法人こども教育支援機構」がフリースクール:クラーク国際中等部を設立。初代校長に就任。
居場所作りのスリースクールにプラスして「将来先取り教育」を実行している。

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