フリースクールで成長した子どもたち|多様な学びの成果

「うちの子には一般的な学校が合わないかもしれない」そんな思いを抱えている保護者の方は決して少なくありません。子どもたちには、それぞれ異なる個性や学び方があり、画一的な教育システムでは十分に力を発揮できない場合もあります。そんな中で注目されているのが、多様な学びの場を提供するフリースクールです。

今回は、実際にフリースクールで学んだ子どもたちの成長事例を通して、多様な学びがもたらす豊かな成果についてお話しします。

目次

フリースクールでの成長事例

事例1:不登校から自信を取り戻したAくん(中学2年生)

Aくんは小学6年生の頃から学校に行くことが辛くなり、中学入学と同時に不登校になってしまいました。人との関わりが苦手で、大勢の中にいると緊張してしまう性格でした。

フリースクールに通い始めた当初は、他の子どもたちとの関わりを避けがちでしたが、少人数制の環境と個別対応により、徐々に心を開いていきました。特に、自分のペースで学習を進められることで、勉強への興味を取り戻し、得意分野のプログラミングでは他の子どもたちに教える立場にもなりました。

現在のAくんは、「将来はゲームプログラマーになりたい」と明確な目標を持ち、積極的に学習に取り組んでいます。フリースクールでの体験談として「自分らしくいられる場所があることが、こんなにも大切だとは思わなかった」と語ってくれました。

事例2:芸術分野で才能を開花させたBさん(高校1年生相当)

Bさんは幼い頃から絵を描くことが大好きでしたが、一般的な学校では美術の時間が限られており、思うように表現活動ができずにいました。また、学習障害があり、文字を読むことに困難を感じていたため、従来の授業についていくことが難しい状況でした。

フリースクールでは、個人の興味や特性に合わせたカリキュラムが組まれるため、Bさんは美術活動に多くの時間を費やすことができました。また、読み書きの困難については、デジタル教材や音声教材を活用した学習支援により、着実に基礎学力を身につけていきました。

現在では、地域の美術展に作品を出展するまでになり、「自分の好きなことを思い切りできる環境があったからこそ、今の自分がある」と感謝の気持ちを述べています。このようなフリースクール成功例は、多くの保護者や子どもたちに希望を与えています。

事例3:コミュニケーション能力を伸ばしたCくん(小学5年生)

Cくんは発達障害の特性があり、集団行動や他者とのコミュニケーションに課題を抱えていました。一般的な学校では、周りの子どもたちとの違いを感じ、自己肯定感が低下していました。

フリースクールでは、一人ひとりの特性を理解した上で、段階的にコミュニケーションスキルを身につけるサポートが行われました。小グループでの活動から始まり、徐々に関わる人数を増やしていく方法で、無理なく社会性を育んでいきました。

また、自分の興味のある分野(電車について)を通じて他の子どもたちとの共通点を見つけることで、自然な形でコミュニケーションが生まれました。現在では、「友達ができて嬉しい」と笑顔で話すCくんの姿があります。

多様な学びがもたらす価値

個性を活かした学習アプローチ

フリースクールの最大の特徴は、一人ひとりの個性や学習スタイルに合わせた教育が受けられることです。従来の一斉授業では埋もれがちな才能や興味を、丁寧に見つけ出し、伸ばしていくことができます。

視覚的に学ぶことが得意な子どもには図表やイラストを多用した教材を、体験的に学ぶことを好む子どもには実験や実習を中心とした学習を提供します。このような多様な学びのアプローチにより、子どもたちは自分に最適な方法で知識や技能を身につけることができます。

自己肯定感の回復と向上

多くのフリースクール体験談に共通しているのは、「自分らしくいられる」「認められている感覚」を得られることです。従来の学校システムで自信を失った子どもたちが、フリースクールでの経験を通じて自己肯定感を回復し、さらに向上させていく姿が見られます。

小さな成功体験を積み重ねることで、「自分にもできることがある」「自分は価値のある存在だ」という実感を得ることができるのです。

将来への準備と可能性の拡大

フリースクールでの学びは、単に学力向上だけを目指すものではありません。子どもたちが将来、社会で活躍するために必要な力を総合的に育てることを重視しています。

創造性、問題解決能力、コミュニケーション能力、自主性など、これからの時代に求められる力を、実体験を通じて身につけることができます。また、早い段階から自分の興味や適性を発見し、将来の進路について具体的に考える機会も提供されます。

まとめ

フリースクールは、従来の教育システムでは十分に力を発揮できない子どもたちにとって、大きな可能性を秘めた学びの場です。ここで紹介した成功例や体験談からも分かるように、一人ひとりの個性を大切にした教育により、子どもたちは確実に成長し、未来への希望を見つけることができます。

大切なのは、すべての子どもに「自分らしく学べる場所」があることです。もし現在の学習環境に不安を感じていらっしゃるなら、多様な学びの選択肢があることを知っていただき、お子さんにとって最適な環境を一緒に見つけていただければと思います。

子どもたちの可能性は無限大です。その可能性を最大限に引き出すために、私たち大人ができることは、多様な学びの場を理解し、支援していくことなのかもしれません。

投稿者

堀内 孝一

1997年代前半に全国の高校中退者が12万人という状況を知り、その時代では唯一無二の教育である全日型通信としてリスタート教育を掲げていたクラーク記念国際高等学校に1997年に入職。西日本地区を中心にリスタート教育を発信し続ける中、2023年に小中学生の不登校34万人以上という状況の中、2024年に「一般社団法人こども教育支援機構」がフリースクール:クラーク国際中等部を設立。初代校長に就任。
居場所作りのスリースクールにプラスして「将来先取り教育」を実行している。

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