不登校体験談の共有|他の家庭の事例から学ぶ

お子さんの不登校に向き合うご家庭の皆さま、今日も一日お疲れ様でした。不安や悩みを抱えながらも、お子さんのことを想い続けるその気持ちに、心から敬意を表します。

一人で抱え込んでしまいがちな不登校の悩み。でも、同じような経験をしている家庭は決して少なくありません。今回は、実際に不登校を経験したご家庭の体験談を通して、きっと皆さまの心に寄り添える学びと希望をお届けしたいと思います。

目次

【体験談1】中学2年生のAくんの事例~焦らずに見守ることの大切さ~

不登校体験談

「息子が学校に行けなくなったとき、私は必死になって登校を促していました」と語るのは、Aくんのお母さんです。

中学2年生の秋から突然学校に行けなくなったAくん。最初の数ヶ月は、お母さんも毎朝声をかけ、時には涙ながらに説得を試みていました。しかし、そうすればするほど、Aくんは部屋に閉じこもってしまうように。

転機は、同じような経験をした保護者の方との出会いでした。「無理に学校に行かせようとするのではなく、まずは家庭が安心できる場所であることが大切」というアドバイスを受け、お母さんの接し方が変わりました。

毎朝の「学校は?」という声かけをやめ、代わりに「おはよう、今日も一緒にいられて嬉しいよ」と伝えるようになったのです。すると、少しずつAくんの表情が明るくなり、家族との会話も増えていきました。

現在、Aくんは週に2〜3日、保健室登校を続けています。「完全に教室に戻れるまでには時間がかかるかもしれませんが、息子のペースを大切にしたいと思います」とお母さんは穏やかに話してくれました。

【体験談2】小学6年生のBさんの事例~好きなことから自信を取り戻す~

不登校体験談

Bさんのお父さんは、最初とても戸惑ったと振り返ります。「娘が学校に行けないなんて、親として何かが間違っていたのではないかと自分を責めました」

しかし、カウンセラーさんからのアドバイスで、Bさんの「好きなこと」に注目することにしました。絵を描くことが大好きだったBさん。お父さんは一緒に美術館に行ったり、画材を揃えたりして、Bさんの興味を大切に育てました。

「学校のことは一旦置いておいて、娘が笑顔でいられることを最優先にしました」とお父さん。すると、Bさんは家では生き生きと過ごすように。そして、地域の絵画教室に通い始め、そこで同年代の友達もできました。

現在中学1年生になったBさんは、新しい環境で週4日ほど登校できるようになっています。「あのとき無理に学校に行かせなくて良かった。娘は自分のペースで成長していたんです」とお父さんは笑顔で話してくれました。

【体験談3】高校生のCくんの事例~進路への不安を乗り越えて~

不登校体験談

高校1年生で不登校になったCくん。進路への不安が大きく、「このままでは将来どうなってしまうのか」と親子で悩む日々が続きました。

お母さんは、まず通信制高校やサポート校について情報収集を始めました。「選択肢はひとつじゃないということを、息子にも私にも教えてくれました」

Cくんは通信制高校に転校し、自分のペースで学習を進めながら、興味のあったプログラミングの勉強も始めました。現在は専門学校への進学を目指しており、「回り道だったけれど、自分らしい道を見つけられた」と話しています。

他の家庭の事例から学ぶこと

これらの不登校体験談から見えてくるのは、それぞれの家庭が試行錯誤しながら、お子さんにとって最適な方法を見つけていったということです。

共通するポイント

1. 子どものペースを尊重する どの家庭も、最初は焦りや不安から子どもを急かしてしまいがちでした。しかし、子ども自身のペースを大切にすることで、状況が改善していきました。

2. 家庭を安心できる場所にする 学校に行けない罪悪感を感じている子どもにとって、家庭が安心して過ごせる場所であることは何より重要です。

3. 子どもの興味や強みに注目する 学校以外の場所で子どもが輝ける場を見つけることで、自信を取り戻すきっかけとなりました。

4. 多様な選択肢を知る 全日制の学校だけが道ではありません。通信制高校、フリースクール、家庭学習など、様々な選択肢があることを知ることで、親子ともに気持ちが楽になります。

体験談から得られる希望

他の家庭の不登校事例を知ることで、「うちの子だけじゃない」「きっと道はある」という希望を感じていただけたでしょうか。

それぞれの子どもには、それぞれの成長のペースがあります。今は学校に行けなくても、その子なりの方法で必ず成長していきます。大切なのは、お子さんを信じ、そのありのままを受け入れることです。

同じような経験をしている家庭との繋がりを持つことも、大きな支えとなります。地域の親の会や、オンラインでの情報交換など、一人で抱え込まずに済む環境を見つけてみてください。

お子さんの笑顔と、ご家族の穏やかな日々のために。今日という日が、少しでも希望に満ちたものでありますように。

投稿者

宮川 優輝

日本大学文理学部教育学科卒業。滋慶学園東京福祉専門学校で広報業務・入試事務を経て、内閣府認定公益財団法人こども教育支援財団東京大志学園さいたま校(フリースクール)にて教室担当を務め、不登校支援を行う。現在は一般社団法人こども教育支援機構クラーク国際中等部さいたまキャンパス教室担当。

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