不登校の子どもへの声かけ|言ってはいけない言葉・効果的な言葉

お子さんが学校に行けなくなったとき、親としてどう声をかけたらいいのか悩む方も多いでしょう。不登校は、子どもが何らかの困難を抱えているサインです。適切な声かけが、子どもの心を軽くし、回復への一歩を後押しすることがあります。一方で、何気ない一言が子どもの気持ちを傷つけてしまうこともあります。

この記事では、不登校の子どもに対して「(関係をこじらせる)言ってはいけない言葉」と「効果的な言葉」を具体的に紹介しながら、寄り添ったコミュニケーションの方法をお伝えします。

目次

休みがちな子どもと関係をこじらせてしまう言葉

まずは、休みがち・不登校の子どもに対し、関係性に応じて避けるべき表現・言葉について考えてみましょう。これらの言葉は、親として悪気がなくても、子どもにとってネガティブに評価されているんじゃないか、見捨てられてしまうのではないか、などプレッシャーに感じられたり、傷つくことがあります

「どうして学校に行けないの?」

この表現を避けた方が良い理由は、子ども自身「なぜ行けないのか」分からない、整理できないことがほとんどだからです。この問いかけを「いくのが当たり前だ」という裏の意図を持って伝えると、子どもに「自分はダメな人間だ」と感じさせてしまう可能性が極めて高く、状況改善ではなく事態を深刻にする場合があります。

また、こちらがそんな意図を持っていない、と主張しても、子ども側の感じ方の問題ですから、「今考えていることを十分に語り合える関係性」とお互いに感じれる状況になるまでは待った方が良いでしょう。

「みんな頑張っているのに」

「他者と比較をして傷つきやすくなる」思春期に入っている場合、そのことも相まって、他の子どもと比較する言葉は、子どもの自己肯定感を大きく傷つけます。「自分は他の子より劣っている」「私は頑張りが足りていない」と思わせてしまう原因になります。表面的には、学校の欠席をした日から不登校の兆しが出てきたように思いがちですが、ほとんどの場合、もっと前から「我慢して」「頑張って」毎日を過ごしてきて、もう限界というところを超えて「欠席が目立つ」ようになります。よって、「頑張っていない」というメッセージは、「私が無理していたことなんて全然見てくれていなかったんだ」ということまで伝えてしまい、関係構築や状況改善を阻害する要因になりえますので注意が必要です。

「怠けているだけじゃないの?」

これは、大人サイドの「表面的な理解=気持ちを知ろうとしてくれていない」を露呈する表現になり得ます。一方、この表現を使われる保護者も「分かろうとしたいのに、売り言葉に買い言葉でつい。」「今の状況が親としても不安・焦る」という気持ちがあって、意図しない表現であった場合も多いのではないでしょうか。その気持ちを乗せて、婉曲な表現として仰った際、子ども側はお父さんやお母さんの「不安」「焦り」「その先にある幸せになってほしいという願い」よりも、表面的な「怠け」にだけ着目してしまいます。不登校の子どもは、実際怠けているわけではなく、心理的・身体的な困難を抱えています。このような言葉は、親子のミスコミュニケーションを助長しかねません。

「将来どうするの?」

将来への不安を煽る言葉は、先行き不透明で不安いっぱいの子どもにとって、前を向くきっかけになるような言葉になるでしょうか。それとも重いプレッシャーになり、逃避的な気持ちを助長しませんでしょうか。不登校の最中は、目の前の困難に向き合い乗り越えることで誠意杯な状況であることが多くあります。どうしても聞きたい場合は、ご本人が「将来、私にはきっと色々な選択肢がある!」と思えるようなマインドを整えてから問われると良いでしょう。

不登校の子どもに効果的な言葉

次に、不登校の子どもに安心感を与え、気持ちに寄り添うための効果的な言葉を紹介します。これらの言葉は、ハウツーとして使っても効果はありません。言葉の根っこにある保護者の思い・幸せになってほしいという願いが、表現とともに伝わることで「自分は受け入れられている」と感じるきっかけ、行動のきっかけになっていきます。

「今、学校に行けない状態でも、(あなたならきっと)大丈夫だよ」

「あなたの力やセンス・可能性があれば」このメッセージは、子どもに安心感を与えます。不登校の子どもは、「学校に行けない自分はダメだ」と感じていることが多いので、「今、行けなくても、将来の道までないわけではない。私は大丈夫」というメッセージが心の負担を軽くします。

「何か困っていることがあったら教えてね」

子どもが自分の気持ちを話しやすくなるような声かけです。「話さなくてはいけない」と感じさせるのではなく、選択肢がある、人生の主人公が自分で周りにサポートしてくれる人がいる、「私は見捨てられない存在だ」という実感を持つことが重要です。

「一旦休んでいい」

前述の通り、不登校状態の子どもは、学校に行き続けながら数ヶ月から数年単位で頑張り続け無理をしてきたことで、相当心身ともに疲れている、と考えることができます。

「一旦休んでいい」という言葉は、子どもが安心して自分のペースを取り戻す助けになります。大人が有給休暇を上手に活用して、ライフワークバランスを保ちながらより良く生きていく、自身と社会の幸せのためにエネルギーを貯めて力を発揮する時代です。表面化しにくいかもしれませんが、「頑張り」「踏ん張り」への労いが、ある・ない、では深刻化・長期化という点で差がついていく可能性があります。

「いつでも応援しているよ」

親が自分を信じてくれているというメッセージは、下がってしまっている子どもの自己肯定感を穴埋めしてくれます。心身ともにしんどい状況になると、自分が愛されている対象だ、と親子関係であっても確証を持てなくなる場合があります。そんな時、子どもにとって大きな支えとなるでしょう。

不登校の子どもとのコミュニケーションのコツ

声かけ以外にも、日常的なコミュニケーションの工夫が大切です。以下のポイントを意識してみましょう。

役割は「アドバイザー」ではなく「壁打ち役(聞く姿勢)」

子どもが話したいときに、しっかり耳を傾けることが重要です。求められていることのほとんどは、アドバイスではありません。自分の考えを音に乗せてアウトプットし、頷きや共感的な姿勢「そうなんだね」によって、自分の考えを再度インプット・整理する「壁打ち役」が求められています。アドバイスを求めてくる人は、心のエネルギーがある人、といっても過言ではありませんので、どの役割で対応するのが良いか、子どもの状態に合わせて変化させることを意識すると良いでしょう。

非言語的なサポート

言葉だけでなく、スキンシップや笑顔での接し方も大切です。子どもが安心できる雰囲気を作ることで、心を開きやすくなります。ただし、思春期に入ると、その距離感が児童期と変わって煩わしいという表現を子どもがする場合もあります。子どもの成長に応じて、言葉以外のサポートのあり方、心地よい距離感を心がけると良いでしょう。

無理に学校の話をしない

不登校の子どもにとって、学校の話題は、親や周囲の裏の意図を勝手に関連づけて考えてしまう、あるいは「考えなければいけない問題」と思えば思うほど、避けたいテーマになります。学校の話題を振りたいのは大人サイドではないでしょうか。

その話題を振りたい根っこに、私たちの「先行き不安」「心配」「焦り」が隠れていませんか?明るい話は楽しくとも「不安」「心配」な話は、子どもも直面しにくい話。そういう意味で、無理に学校の話をするのではなく、子どもが興味を持つ話題を共有する中で、今の状況を「普通」として関わっていくと、子どもの方から未来の話や、今の気持ちが少しずつ出てくる場合があります。

子どものペースを尊重する

子どもが未来を考え行動を起こし始めるには、安心できる環境、周囲の温かい雰囲気をどれくらいの時間で受け入れられるようになるか、に左右されることがあります。私たちが冷静さと見通しを持ち「焦り」を手放すことで、子どものペースを尊重しやすい心持ちを維持することができるようになります。

保護者自身のケアも忘れずに

不登校の子どもを支える中で、責任感の強さ、子どもへの愛情がゆえに保護者自身が疲れてしまうことが多くあります。「親が元気でいること」は、子どもにとって「不登校は大事ではなく、なんとかなる問題」「きっと大丈夫」「自分が親を悲しませていない」という気持ちを持って、前を向くようになる上でとても大切です。以下の方法で、自分自身のケアも心がけましょう。

相談できる相手、気持ちを吐き出せる場を見つける

学校の先生やスクールカウンセラー、教育相談機関などに相談することで、気持ちが軽くなることがあります。

一人で抱え込まない

家族や友人、同じように思春期の子との関わりに悩む保護者との交流の中で、話を聞いてもらったり話を聞くことで、心の負担を減らすことができます。

まとめ:言葉の力を信じて寄り添う

不登校の子どもにとって、親の言葉は大きな影響力を持っています。適切な声かけは、子どもの心を軽くし、前向きな気持ちを引き出す助けになります。一方で、良かれと思った言葉が「今の子どもの心の状態には」不用意となりかねる表現もあるため、本記事を踏まえて改めて、日常感じられているご自身の「気持ち」を整理しておくと良いでしょう。

お子さんが不登校の状況にあるときは、「何ができるか」と焦るのではなく、まずは「何を思っているか」「どう感じるか」ということを意識してみてください。不安で見えなくなっている「親の愛情」や「安心感」を子どもが取り戻せるようにサポートすることが、子どもの回復への一歩を後押しします。そして、自分一人で抱え込まず、気軽に専門家や周囲の力を借りることも検討してください。

不登校は一時的な状況であり、適切なサポートがあれば、子どもは必ず自分に合った道を見つけていくことができます。焦らず、一歩ずつ進んでいきましょう。

寄稿者

茨木 泰丈

公益社団法人学校教育開発研究所 事務局長・理事
2024年・名古屋市 「今後の不登校施策に関する有識者等会議」委員、2025年・東広島市「雲 (クラウド)の上で~思春期の子育てを語り合う集い~」 講師、YouTube 「フリースクールで頑張る先生のための応援チャンネル」運営者、子どものための「学校適応感尺度」 アセス コーディネーター、学習心理支援カウンセラー(専門課程)修了。国家資格キャリアコンサルタント

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