不登校継続率とは?|令和6年度の新指標が示す支援の現在地と保護者が知っておきたいこと

不登校継続率とは何かを調べる母親がリビングテーブルで文書を広げている様子

お子さんが不登校の状態にあるとき、「このまま続いてしまうのだろうか」と夜中に不安を抱えている保護者の方は、決して少なくありません。令和6年度の文部科学省調査では、「不登校継続率とは何か」を初めて定義し、不登校の子どもたちを「新規」と「継続」に分類した新指標が公表されました。このデータは、不安を煽るためではなく、支援の現在地を正確に把握し、より丁寧なサポートへとつなげていくための大切な一歩です。

この記事では、その新しい指標が意味するところを保護者の方にわかりやすく整理するとともに、データを「我が子のこと」として受け止めるためのヒントをお伝えしていきます。難しい統計の話ではなく、「今、子どもの傍でできること」を一緒に考えていければと思います。

目次

「不登校継続率」という新しい指標が生まれた背景

保護者が不登校に関する調査資料を居間のテーブルで読み比べている場面

これまでの文部科学省の調査では、毎年度の不登校児童生徒数の「総数」が報告されてきました。ただ、その数字だけでは「今年初めて学校に行けなくなった子ども」と「昨年度から引き続き不登校状態にある子ども」が混在しており、支援の効果や状況の変化を細かく読み取ることが難しい面がありました。

令和6年度調査では、この課題に応えるかたちで初めて両者を分類。「新規の不登校」と「継続している不登校」を区別することで、それぞれの状況に応じた支援策をより的確に届けることが目的とされています。保護者の立場から見れば、「うちの子は今、どのフェーズにいるのか」を考えるための視点が一つ増えたと理解していただくとよいかもしれません。

「新規」と「継続」、それぞれが意味すること

「新規」とは、前年度は通常通り登校していたにもかかわらず、今年度から不登校状態になった子どもを指します。一方「継続」は、前年度もすでに不登校の状態だった子どもです。どちらが「よい・悪い」ということではなく、それぞれの子どもが置かれている段階が異なるため、必要なサポートの内容も変わってくるという整理です。

今回の調査で注目されたのは、新規の不登校児童生徒数が9年ぶりに減少に転じたという点です。これは支援策が少しずつ届き始めているサインとも受け取ることができます。一方で継続率が依然として高い水準にある事実は、一度不登校になった後の回復を丁寧に支え続けることの大切さを示しています

継続率が高い背景にあるもの――子どもの心と環境の複雑さ

中学生の子どもがリビングのソファで親と並んで座り静かに話している場面

「なぜ、学校に行けない状態が続いてしまうのだろう」と感じている保護者の方も多いでしょう。継続率が高い背景には、さまざまな要因が絡み合っています。一つの原因だけで説明できることはほとんどなく、子ども一人ひとりの事情が深く関係しています。

エネルギーの回復には、時間がかかることが多い

不登校の状態になる前、多くの子どもたちはずっと「頑張って」「我慢して」日々を送ってきています。学校を休むようになった時点ですでに相当なエネルギーを使い果たしている状態です。そのエネルギーを取り戻す時間は、大人が思う以上にかかることがあります。「今は休む時期」として受け止め、回復のペースを子ども自身に委ねることが、結果として継続期間を短くすることにつながる場合も多くあります

環境が変わらないと、戻る先が見えにくい

子どもが学校に行けなくなった背景に、人間関係の困難や学習上のつまずき、あるいは学校という環境そのものへの不安がある場合、元の環境が変わらないまま「また行こう」と思えることは難しいものです。継続率が下がらない理由の一つとして、「戻る場所」がまだ整っていないというケースが考えられます。だからこそ、後ほどご紹介するような多様な学びの場の整備が重要になっています。

継続率が高くなりやすい背景として挙げられる要因
・不登校になる前から長期にわたってエネルギーを消耗していた
・元の学校環境に戻ることへの不安が解消されていない
・子どもに合った「居場所」がまだ見つかっていない
・家庭だけで抱え込み、外部との接点が少ない状態が続いている

学校や行政が広げる「支援の選択肢」――データが後押しする変化

支援施設の相談室でスタッフが保護者にパンフレットを並べて説明している様子

新指標の公表は、支援策の効果を検証するうえでも意義があります。継続率という視点を持つことで、どのような支援が「長期化を防ぐ」あるいは「回復を後押しする」のかが、今後より具体的に見えてくると期待されています。

校内教育支援センターの役割

校内教育支援センター(いわゆる「校内フリースクール」的な場所)は、通常の教室には入りにくい子どもが学校内で過ごせる空間として、各学校への設置が進んでいます。完全に学校を離れることなく、少しずつ「学校にいること」への慣れを取り戻していける場として機能しており、継続的な不登校を「ゼロか百か」ではなく段階的に支えるための重要な選択肢の一つと位置づけられています。

学びの多様化学校という選択肢

文部科学省が推進している「学びの多様化学校」(いわゆる不登校特例校)は、不登校経験のある子どもが通いやすいよう、カリキュラムや時間割を柔軟に設計した学校です。通常の学校に戻ることだけが「正解」ではなく、子どもの状態に合った学び方を尊重するという考え方が、少しずつ広がっています。こうした選択肢が増えることは、継続率を下げていくための社会的な取り組みとしても重要です。

保護者として「継続率」のデータとどう向き合うか

保護者が自宅の勉強机でノートに書き込みながら資料を確認している場面

「継続率が高い」というデータを目にすると、「うちの子も長引いてしまうのでは」と不安を感じる方もいるかもしれません。ただ、数字はあくまでも全体の傾向を示すものであって、お子さんの未来を決めるものではありません。データは「今の社会状況を知るための地図」であり、わが子がこれからどう進むかは、この瞬間の丁寧な関わりが積み重なっていくものです。

「なぜ続いているのか」よりも「今、何ができるか」を考える

継続的な不登校の状態にあるお子さんを持つ親御さんにとって、「どうしてこんなに長く続くのだろう」という問いは、自分を責める方向に向かいやすい問いでもあります。ですが、今この瞬間に意識を向けるとすれば、「今日、子どもが少し安心できる時間を過ごせたか」という小さな積み重ねのほうが、回復への確かな土台になっていきます。

家庭の外に「話せる場所」を持つことの大切さ

継続率が高い背景の一つとして、「家庭だけで抱え込んでいる状況」があります。スクールカウンセラーや、学校外の相談窓口、あるいはフリースクールのスタッフなど、第三者の目線を借りながら状況を一緒に整理していくことは、保護者自身の気持ちを楽にするだけでなく、子どもにとっての回復の速度にも影響してくることがあります。一人で全部解決しようとしなくていいのです。

保護者が今日から意識できること
・「なぜ続いているのか」より「今日、子どもが少し安心できたか」を大切にする
・スクールカウンセラーや外部相談窓口に一歩連絡してみる
・フリースクール・通信制高校など、多様な学びの場の情報を少しずつ集め始める
・子どもの「回復のペース」を信頼し、焦らず寄り添い続ける

まとめ――データは不安を煽るものではなく、一緒に歩くための地図です

令和6年度の文科省調査で初めて示された「不登校継続率」という指標は、子どもたちへの支援をより丁寧に届けるために生まれた視点です。新規の不登校が9年ぶりに減少したことは、少しずつ支援の手が届き始めているサインでもあります。継続率が高いという現実は確かにありますが、それは「変わらない」ということを意味しません。

お子さんが今どのような段階にあっても、回復の道のりには必ず動きがあります。焦らなくていい。責めなくていい。子どもが「ここにいてもいいんだ」と感じられる居場所を、一緒に探していくことが、次の一歩につながっていきます。学校に戻ること、フリースクールを活用すること、通信制高校という選択肢を視野に入れること――どの道を選んでも、お子さんの夢や挑戦を支える場所は必ずあります。不登校は、その子の可能性を閉じるものでは決してありません。今日のこの一歩が、やがて大きな達成へとつながっていくことを、私たちは信じています。

不登校から高校進学準備ができるフリースクール

中村 成希

●一般社団法人こども教育支援機構 クラーク国際中等部 副校長
●一般社団法人IPUアカデミー IPUブリッジ 副校長
●学校法人創志学園 通信制高校運営管理本部 地区統括部 生徒サポートセンター センター長
●法務省 神戸保護観察所 中央区保護司会 保護司
●一般社団法人ひきこもり支援相談士認定協議会 元支部長

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