不登校 きょうだい 影響|登校している子の気持ちにも寄り添う家庭ケア

不登校 きょうだい 影響——このキーワードで検索してこの記事にたどり着いた保護者のみなさんは、おそらく毎日、不登校のお子様のケアをされながら登校しているお子様の対応も併せて子育てされているのだと思います。不登校の子どもへの対応に精一杯になりながらも、「登校しているあの子のことも、ちゃんと見てあげられているだろうか」という問いが頭から離れない。そのまなざし自体が、すでにきょうだい全員を守ろうとしている証です。まずは、そう感じているご自身を責めないでください。
令和6年度の文部科学省調査では、不登校の児童生徒数が過去最多を更新したことが明らかになりました。不登校はいまや特別な家庭の話ではなく、どのご家庭にも起こりうることです。そして、その家庭の中で「もうひとりの子ども」——登校を続けているきょうだい——がどんな気持ちを抱えているかは、なかなか表に出てきません。この記事では、きょうだいの心の動きを丁寧に整理しながら、保護者にできる具体的なケアをいっしょに考えていきます。
きょうだいはどんな気持ちを抱えているのか

登校しているきょうだいは、毎朝ランドセルや鞄を持って家を出ます。眠い日も、行きたくない日も、「行くのが当たり前」と自分に言い聞かせながら。そしてふと、家に残る兄弟や姉妹のことを思ったとき、「なんでわたしだけ?」という気持ちが芽生えることがあります。これは子どもの心として、とても自然な反応です。
「ズルい」という言葉の裏にあるもの
「お兄ちゃんだけズルい」「わたしも学校行きたくない」——きょうだいからこんな言葉が出てきたとき、思わず「そんなこと言ってはダメ」と止めたくなるかもしれません。でも、この言葉は非難でも悪意でもなく、「わたしの気持ちも見てほしい」という切実なサインであることが多いです。不公平感は、愛情を求めるところから生まれます。きょうだいもまた、保護者の関心と安心を必要としているのです。
不安・羨望・そして罪悪感
不公平感のほかに、きょうだいが抱えやすい感情は大きく三つあります。一つ目は「不安」です。「うちの家族、このままどうなるんだろう」「お父さんもお母さんも元気がない気がする」と、家庭の空気を敏感に感じ取ります。二つ目は「羨望」。学校を休んでいる子が昼間ゲームをしていたり、好きなことをしている様子を見て、うらやましいと感じることがあります。三つ目は「罪悪感」です。「こんなことを思ってはいけない」「わたしだけが元気でいたら申し訳ない」と、自分の感情を押し込めてしまうきょうだいも少なくありません。これらの感情はどれも「おかしい」のではなく、子どもなりの精一杯の反応です。
きょうだいの気持ちを受け取るための1対1の時間

不登校の子への対応に追われる毎日の中で、登校しているきょうだいと「ふたりだけの時間」を意識的につくることは、とてもシンプルですが効果的なケアになります。特別なお出かけや豪華な体験でなくてよいのです。
「あなただけ」を感じてもらう小さな工夫
週に一度、帰宅後の15分だけ、きょうだいと一対一でお茶を飲む。夕食の準備をいっしょにする。学校の話を「へえ、そうだったんだね」とただ聞く。そういった小さな積み重ねが、「わたしのことも見てくれている」という安心感を育てます。内容よりも「あなたのために時間をとっている」という事実そのものが、きょうだいの心の支えになります。
学校の頑張りを「ちゃんと見ている」と伝える
登校しているきょうだいは、「毎日行っているのが当たり前」と思われている、と感じていることがあります。テストの点数や成績でなく、「今日も行ってきたんだね、それだけで十分だよ」という言葉が、じつは深く響きます。頑張りを比較せず、ただ存在を肯定する言葉を、意識的に伝えてみることからはじめてみるのがおすすめです。
きょうだいへの1対1ケア:保護者にできること
・週に数回、きょうだいだけとの短い時間(15〜30分)を意図的につくる
・学校の話を評価せず「聞く」だけの時間を確保する
・「今日も来てくれてよかった」と存在そのものに言葉をかける
・「あなたのことも、ちゃんと大事にしているよ」と折を見て伝える
不登校の状況をきょうだいにどう説明するか

「なんでお兄ちゃんは学校に行かないの?」——この問いに、どう答えればよいか迷う保護者は多いです。説明が難しい理由のひとつは、不登校の原因が複合的で、大人でも言葉にしにくいことが多いからです。でも、きょうだいに「何も教えてもらえない」状況が続くと、子どもは想像で空白を埋めようとします。その想像が、不安や誤解を生むことがあります。
年齢・理解度に合わせた言葉を選ぶ
小学校低学年のきょうだいには、「〇〇は今、心と体が少し疲れていて、家でゆっくりしているんだよ」という程度で十分です。中学生以上であれば、「誰でも、疲れて動けなくなることがある。今はそういう時期なんだ」と少し踏み込んで伝えることもできます。大切なのは「隠している」ではなく「あなたにも話しているよ」という姿勢を見せることです。完璧な説明でなくてよいのです。
「悪いことじゃない」と伝える
きょうだいの中には、「うちの家族のことが友達にバレたら恥ずかしい」という気持ちを持つ子もいます。これも自然な感情です。そのときに大人が「不登校は病気でも怠けでもない、心が少し休憩を必要としているだけ」と穏やかに伝えることで、きょうだいは「恥じることではないんだ」と少しずつ受け取ることができます。家族の中でオープンに話せる空気をつくることが、きょうだい自身の安心にもつながります。
家庭内の橋渡し役として保護者ができること

不登校の子ときょうだいの関係は、放っておくと「なんとなくギクシャクしたまま」になることがあります。同じ屋根の下にいながら、互いに遠慮して話さない、という状況が続くことも珍しくありません。保護者は、そのふたりの間に立つ「橋渡し役」として動けることがあります。
どちらの味方にもならず、どちらも大切にする
きょうだい間でトラブルが起きたとき、「あの子は不登校だから仕方ない」とも「あなたがもう少し我慢して」とも言いたくなる瞬間があるかもしれません。でも、どちらかを一方的に守ることは、もう一方の子に「自分は後回しにされた」という傷を残します。「あなたの気持ちもわかるよ、〇〇の気持ちもこういう部分があってね」と両方の声を言葉にしてあげることが、保護者にできる大切な役割です。
きょうだい自身が「話せる場所」を持てるように
保護者だけがきょうだいの話し相手でなくてもかまいません。祖父母、担任の先生、スクールカウンセラー——きょうだいが「この人になら話せる」と感じる大人が一人いるだけで、子どもの心のゆとりはずいぶん変わります。学校に「きょうだいの子のことも気にかけてほしい」と相談することも、遠慮せずに検討していただきたい選択肢のひとつです。保護者がひとりで抱え込まなくてよい、というのは、きょうだいにとっても同じことです。
橋渡し役として意識したい保護者の立ち位置
・どちらかを「我慢役」に固定しない
・ふたりそれぞれの言葉を、保護者が代わりに伝え合う
・きょうだいが話せる「家庭外の大人」を意識してつくる
・保護者自身も一人で抱えず、相談窓口や支援者を活用する
まとめ|家族みんなの心を守りながら、一歩ずつ前へ
不登校はひとりの子どもだけでなく、家庭全体に影響を与えます。登校しているきょうだいが「ズルい」「なんで自分だけ」と感じることは、弱さでも身勝手でもなく、愛情と関心を求める子どもとしての自然な気持ちです。そしてその気持ちに気づいて「どうしてあげられるだろう」と考えているあなたは、すでに家族全員の心を守ろうとしています。
1対1の時間を少しつくること、きょうだいの言葉をただ聞くこと、「あなたも大切だよ」と伝えること——どれも小さな一歩に見えますが、子どもの心にはしっかりと届きます。不登校はいつか必ず、次のステージへの出発点になります。その日まで、家族みんなで少しずつ、無理のないペースで歩んでいけますように。この記事がその一助になれば、うれしいです。
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